同じ日に不思議な人を二人も見るなんて。

近くのお寺で鬼子母神祭りをやっていた。そこでではなく、いつものスーパーに買い物に行って。

スーパー入り口に自転車を止めて若い男性が犬に水をやっていた。犬は荷台の段ボール箱から頭だけを出してかなり苦労して水を飲んでいた。皿は直径15センチあるだろうか、陶器と見えたが、惣菜の空容器かもしれない。目を引いたのは足元に籠(ケージ)があって中に猫が入っていた。

男性は少し顔は垢じみているかもしれない。日焼けしているのかもしれない。髪の毛が赤いのは染めているのか日焼けしているのか。家出中の中学生か高校生なのだろうか。じっくり観察したいと思ったが買い物を済ませて出てみるともう居なかった。

家路をたどっていると前を若い女性が喪服姿で右手にフライパンの入ったスーパーの袋とビール一パック入れた袋とを持って歩いていた。黒いストッキングを履いた細い足が目を引いた。首の後に一つ結びにしたひっつめ髪、パールのネックレスが見えた。すると声が聞こえた。何か歌っていた。途切れ途切れでよくわからない。どんな歌を歌っているのだろう。こういう時にどんな歌を歌って自分を慰めているのだろう。何故か懐かしい。自分も葬式帰りのような気分になった。

葬式帰りにフライパン?
葬式帰りにビール?

そういえば葬式につきもののおみやげは持っていなかった。黒で決めていたけれど靴はエナメルだった。